どうも青Pです
先日幕を閉じた夏川椎菜2nd Live Tour2022『MAKEOVER』
今回僕は大阪・東京・名古屋の3公演に参加させていただいたので、その備忘録を書こうかなーという次第で書かせていただいています。
今回のツアーの概要はこのサイトから
http://LAWSON presents 夏川椎菜 2nd Live Tour 2022 MAKEOVERopen.spotify.com
セットリストはこんな感じです
※12曲目の『パレイド』・『グレープフルーツムーン』は日替わり枠
※中野追加公演では21曲目に新曲『ササクレ』を披露
〇ライブ概要
基本的には2ndアルバムである『コンポジット』をメインに構成されたライブでした。
アルバム自体が喜怒哀楽をメインに構成されたアルバムだったので、ライブのセトリもわかりやすい構成だったなと感じています。
──先ほどおっしゃった「大事にしたいコンセプト」とは、喜怒哀楽、つまり“感情”ですか?
そうです。「アンチテーゼ」(2020年9月発売の4thシングル)のときに「喜怒哀楽の“怒”をテーマにした」とお話ししましたけど(参照:夏川椎菜「アンチテーゼ」インタビュー)、その次の「クラクトリトルプライド」(2021年1月発売の5thシングル)は“楽”に振ったんですよ。結果、カップリングも含めて“怒”と“楽”の曲が2曲ずつできて、その4曲が入るアルバムになるから、足りないピースを埋めたくて。今回は自分の中にある感情をみんなにも知ってもらえるようなアルバムを目指しました。その中で、足りないピースとしてはまず“喜”と“哀”があって、それに加えて違うベクトルの“怒”と“楽”もあるんじゃないかなと、サウンド感や歌詞の方向性を考えながらパズルみたいな作り方をしましたね。選曲のときも「この感じだと“怒”が多すぎない?」とか「この曲は“怒”にも“哀”にも取れるから入れたいね」とか、そういう話をしていて。
自分の中にある感情をみんなに知ってもらうアルバム
これが今回のライブでもキーになったのかなぁって思います。また終盤にまとめてという感じです。
結論から言うと、
夏川椎菜が自身の経験を踏まえ、夏川椎菜としての音楽を可視化しそれぞれの感情に問いかけたライブ
だっとのかなと思います。
今回のライブで特に好きだっただった曲は
『ボクはゾンビ』『That`s All Right』『クラクトリトルプライド』です。
コンポジットのアルバムの中では楽のゾーンですね。
特に『That`s All Right』はマジでライブで印象変わりましたねーチョー楽しい
『クラクトリトルプライド』は今回のライブを通して夏川椎菜さんの一番好きな曲になりました。これはガチです。まーじでよかったので語ります。
あんまし細かいことは話せないので大まかな部分から話していきたいと思います。
〇夏川さんのアーティストとしての生い立ちを振り返りながら考察
夏川さんって1stライブプロットポイントもそうですけど、自らパーソナルな部分
を歌ってきた人だと思うんです。それは劣等感からの始まりで
──話が前後しますが、ソロデビューの際はかなり悩まれたそうですね。
はい。当時は「TrySailの3人の中ですでに2人がソロデビューしてるから、ついでに残ったもう1人もデビューさせておこうということなんだろうな」みたいに捉えていて。もちろんそういうことではなかったんですけど、そのときは既定路線みたいに思ってしまって納得できなかったというか、卑屈になっていたんですよね。まだ歌に対する苦手意識もあったから「別に今じゃなくてもいいんじゃないかなあ」って。
──その結果できあがった「ファーストプロット」の歌詞は、ソロデビューしてから現在までの夏川さん自身の物語ですよね。
まさにその通りです。デビューからこのアルバムの完成に至るまでを、実体験に基づいて時系列順に書いていったので。
「ファーストプロット」の歌詞は、今まで歩んできた道のりを思い出してネガティブなことも歌っているんですけど、決して暗いものにはしたくはなくて。なぜなら、いっぱい悩んだけど、今私が後悔していることは1つもないから。それをちゃんと言いたかったんです。
1stライブが夏川椎菜の物語そのものを歌った幕間劇みたいなものだったので、より鮮明だった印象です。デビュー時に抱いていた劣等感のようなものが音楽制作を通じて無くなっていった。それは本人が歌を歌う以外の楽しみだったり、アプローチを見つけていった結果なのかなと感じています。
アーティスト夏川椎菜ではなく、クリエイター夏川椎菜としての表現を楽しんでいたのがこの時期なのかなーと思うんです。そして、その過程で後悔していることは1つもないと言い切っているところはかっこいいですよね。
そんな夏川さんがPre2ndを迎えます。前回のPre2ndのライブで僕はこんな感想を残していました。
「どんなに子どもっぽい夢でも、小さいことでも、失敗して前に進んでいこう、子どものままでいてもいいよ。きっと素敵なものがあるから、私がその代弁者で証明になるから」
僕はそんな風に感じた、だからこそ『パレイド』はより自分自身の感情を歌った曲よりも、今そんな状況にいる君たち、そして自分自身の人生における意味合いとして伝えた、本人が言っていた救いの曲になっていた。
『パレイド』だけが、子どもや大人のいったりきたりではなく、今の自分自身を認めてあげること、負の感情に向き合ってあげられること、その気持ちを浄化させてあげること
そんな意味合いを持っていたと感じたし、夏川さんが自分の音楽たちで前へ進んだ自分を表現した本編からその『パレイド』に繋がることで
私はいろいろあったけど前へ進めたよ、このライブを見た君たちも前へ進んでね
そんなことを伝えようとしたのかなと、僕はそんな感情が浮かびました。
おそらく今まで自分のことを歌った歌だったけど、自分を客観して相手に届ける歌で、相手の感情の背中を押せる歌になっていたんじゃないかな。
だからこそ、今回の『パレイド』はすごく好きだったし、僕個人としてはすごく嬉しかったかなーと自分人生を語るではなく、音楽としてその人生を伝えてなおかつ救う、本当の意味で、夏川さんの歌になったのかなーそんな感覚がありました。
夏川さんが自分の歌詞を客観視して相手に届ける歌を歌っていた。今までは主観的に、自分のことを届けてきた夏川さんが聞いている人の感情に寄り添った歌を届けているという印象を覚えたのが前回のPre2ndだったと感じています。なぜそれができたのかというと、夏川さんの音楽を周りのバンドマンや作った人たちと一緒に作り上げる過程がしっかりしてきた。その中で届けて信頼できるファンができていたことも大きかったのかなと。
そして、そんな夏川は前へ進めたからみんなも前に進もうねと強く背中を押した決意表明のライブだったのかなーと思います。自己を肯定できたのは1stライブだと思いますが、まだ己の中の感情のみの消化でしかなかったものを、外向きにだせるようになった感覚です。
ここまでをまとめると
① 自分のサクセスストーリーを歌にして届けた1stライブ
(夏川さんがアーティストとしてデビューしてから楽しいと思えるまでの感情変化)
②ステージに立った夏川さんが自分の成功体験や自分の人生を客観視してそれを外に届けるようなライブをしたPre2nd(これはヒヨコ群である夏川さんのファンへと届けたものだと思っています)
③今回のMAKEOVERはそれをさらに可視化し夏川椎菜の音楽として夏川さんのファン以外の会場に来た人にわかりやすく昇華したライブとなった。
のかなと思います。それをさらにライブのセットリストに絡めて話していきます。
今回僕がセットリストで注目したいと感じたのは12曲目『パレイド』・『グレープフルーツムーン』です。この2曲が感情のきっかけになる2曲になる。
夏川さんにとって今回の喜怒哀楽は日常やアーティスト活動の中のものではありますが、それはすべて歌手活動を始めてから出会った感情だと思うんです。制作過程だったりがないと知らないものってたくさんあって。それは聞いている人たちもそうで、夏川さんに出会ってから知ってきた感情たちだなぁと思っていて。
そんな夏川さん自身もそういう歌手活動のきっかけはデビューシングルの『グレープフルーツムーン』や『パレイド』というもので自分から生み出したものではなく誰かに与えてもらった楽曲たちだったのがよかったかなーと、この前を担うのが『ボクはゾンビ』や『ワルモノウィル』で夏川さん作詞の少し現実へのひねくれや自分の感情を歌った曲たちからつながることでより感情のきっかけを色濃くしたのかなと。
その後の『ミザントロープ』はこういう歌を歌う自分が評価されているみたいな客観的な視点が盛り込まれたものなので、アーティストとしての活動を通して見つかった夏川椎菜的な側面があると感じています。
これまでの『パレイド』『グレープフルーツムーン』は夏川さん自身の物語の始まりや転換点として歌われていた楽曲だと感じていたので、それが与えられて昇華し誰かに届けられるものとなった2曲を、アーティストとして作詞での主観的な思いと客観的な自分との曲に挟まれることで、自分の感情だけを吐き出すだけではないライブとしての表現をしていると感じました。
またそれはきっと夏川さんがライブを通して出会った感情たちなのかなと。でもその中であるのは、きっかけと言えるデビュー当初の想いを大切にしている夏川さんらしいセットリストなのかなと感じています。おそらく自分が好きな曲というより、自分を教えてくれた曲たちなので、今の自分を形作ってくれた大切な曲たちに感じましたね。この2曲の歌唱をこのライブで聞けたことは僕にとってもすごく貴重な経験になりました。
『クラクトリトルプライド』の詞を書いたときに、どういう言葉か正解か分からないけど、夏川が作詞をする意味というか、いぎというか、やりがいみたいなものを強く感じることができましたね。伝えたいこととか、今感じていること、ヒヨコ群に伝えたいことという思いを、うまく言語化できた曲なんですよ。それプラス、私のことを知らない人が道端でも聞いてもだぶん刺さるだろうっていう。「きっとこうい思ってる人は、ほかにもいるよね」って思って書けた曲だったので、初めて私が外に向けて自分のメッセージを発信した感じがします。それは、自分の中ではターニングポイントかなって思いますね。
ーVOICE BRODY Vol.11より引用
ここまでまとめてきた中で、ラスト話したかったのは『クラクトリトルプライド』です
僕このライブでのこの曲めちゃくちゃ好きになりました。この曲って夏川さんの全部が詰まった曲だなと思っていて、喜怒哀楽の全部が詰まって曲だなーと感じています。
それも全部夏川さんがアーティスト活動を通して出会った感情たちそのもので、それが詰まっているからこそ届くんだなって。
夏川さんは決して歌がすごく上手いタイプではないし、感情をまっすぐにぶつけるタイプでもないと思っています。自分のヒストリーを音楽として形作り、ライブを通して夏川椎菜の音楽と感情を届ける人。上手にライブをせずに、正直にライブをしている部分が僕にとって夏川椎菜の音楽の最大の魅力だなって思います。綺麗な音楽じゃないんだけど、ライブにいくとそれが綺麗にはまる感じ。それが詰まった『クラクトリトルプライド』は僕の中ではとにかく楽しいのと、嬉しくて泣きそうになるっていう感情の芽生える1曲です。
夏川さんが東京渋谷公演のMCで語っていた「人間は好きだけど、人間らしい自分は嫌い」と語っていたMCがすごく印象に残っていて、人間って誰も素直に生きられるわけじゃないし、何かをごまかしながらぐちゃぐちゃの感情を表出しながら生きてるけどそれがいいのかなって。カレーみたいに全部ルーでごちゃごちゃにしても1つ1つの素材の味って消えないように、たくさんの感情が煮詰まっているからその音楽はとても心地よくて、何度も食べたくなるようなものなのかなって思います。だから『クラクトリトルプライド』は感情のカレだなって思います。それをナンで食べるか、ライスで食べるかは選べるのは夏川さんを通すか、自分自身を通すかの違いなのかなって思っています。そんな素敵なライブでした。
〇ライブを通して自分自身は何を感じたか
このライブを通して夏川さんの音楽やライブの素晴らしさを体感できたわけですが、そんな中で感じたのは夏川さんのアーティストらしさというか自分ひとりでは何もできないことをわかっている感覚でした。
これも東京公演で語っていたことなのですが
「大改革、大変身。ステージに立つとヒ労組のみなさんや音、照明に大変身させてもらっている」「ステージを降りたら普通の女の子」という旨の話でした。そんなことないだろうって思う人もいるかと思いますが、ほんとにその通りだと思います。
夏川さん自身はどこにでもいる普通の女の子で、ただ自分の仕事であり好きな歌手活動を成功させ、みんなに喜んでもらうために努力している女の子だと思っているんです。
でもそういう夏川さんは今回のMAKEOVERやコンポジットを通して製作チームで作る音楽のすばらしさを伝えてくれたなって思っていて、自分ひとりだけでなく自分を評価してくれる人、支えてくれるバンドメンバーがいて夏川椎菜として変身できる、どんどん夏川椎菜として成長できるのは夏川さん自身の探求心と周りの評価での自信なのかなと思いました。それでも根底にあるマインドみたいなものは変わらない。
夢を語るだけでもぐずぐずになっちゃう夏川なんですけど、こういうぐずぐずメンタルの人間にしか伝えられないものとか、ぐずぐずメンタル同士だから分かり合える思いがきっとあるんじゃないかなと思いますし、そういうところに夏川は寄り添って歌を歌っていけたら幸せだなと思っています
ツナギ姿の夏川椎菜が工事現場で熱唱!ヒヨコ群率いて夢いっぱいの未来へ進む(ライブレポート / 写真11枚) - 音楽ナタリー
ステージを降りれば普通の女の子=誰しも同じような境遇にあるかもしれないけど、そこにしかいれない人にとって刺さる音楽や誰しもが努力していけばこうやって輝くことができるんだよと伝えている気がします。音楽自体には個性があるとは思いますが、伝えていることは誰しもにもあるマインドなのかなと。
同時にこのステージだけはヒヨコ群を通してみんな、ライブに来た人みんながヒヨコ群として変身できる場で、普段しんどい人もライブでは変わらない楽しさや喜びを感じ取れる場所になっている人もいるんじゃないかなと思います。
以前の僕だったらどんどん進む夏川さんの姿をみて、ファンも前へ進んでほしいと思ったかもしれませんが、それは人それぞれでいいのかなと思います。
僕は正直メンタルぐずぐず野郎ではないので、夏川さんの楽曲がすごく刺さるとかいうことは正直なくて、何か特別な場所がなくても1日1日を通して前へ進む実感はなくても、気づけば前へへ進んでいるような人でありたいなって思うから。少し違う音楽を夏川さんは歌っているなと思います。それでも夏川さんは音楽だけでは語り切れない感情をライブで体現するアーティストだなと感じているので、またライブに足を運びたいなと思わせてくれる人だなと思っています。
「いろんな活動をすればするほど、『夏川は何者なんだろう?』と思うこともあって。どういうふうに見られてるんだろうって悩んだり考えたりすることもあるんですけど、いろんなことを経験してきたからこそ見えてきた答えもあって。特に今回の『MAKEOVER』を8公演やってきた中で、『自分とは何者なのか?』という1つの答えを自分の中で出せたんじゃないかなと思います」
ツナギ姿の夏川椎菜が工事現場で熱唱!ヒヨコ群率いて夢いっぱいの未来へ進む(ライブレポート / 写真11枚) - 音楽ナタリー
何よりメンタルぐずぐずだけど、しっかり信頼できる人が周りにいて、以前の大人クソ、社会クソみたいな音楽を語っていたEP01と比較して大人になり、自分も客観視して届けるようになった夏川さんはめちゃくちゃ大変身して、自分の届ける音楽をまっすぐ届けてほしいなって思います。
でもその中で僕が学んだことは、このステージではキラキラ輝いているけどその裏ではぐちゃぐちゃの感情も背負いながら、それでもあがいている夏川さんの姿なのかなと思います。
悔しいのが、楽しいのは、全部僕のせいだ
ークラクトリトルプライド歌詞より
誰のものでもない人生を生きてくれ 君に言ってんだよ聞いてんの?
ーハレノバテイクオーバー歌詞より
アーティストという仕事に出会った夏川さんはこんな仕事を描いて苦しんでるのも自分のせいだとちゃんと覚悟を決めて、自分だけの人生を生き、表現し、ステージで多くの人に喜びを与えている。そんな夏川さんを見ていると、オタク活動で応援したいなって気持ちはもちろんですけど、自分の人生ちゃんと生きていこうなって気持ちになるんですよ。夏川さんの音楽としてじゃなくて、自分の音楽として受け取った感情を届けたいなって。
今自分が置かれている環境も、これから選んでいく選択も全部自分のせいで、誰かのせいじゃない。自分は自分でしかないしこれからそれを晴天に変えていくのは自分の選択で、自分自身の力だから、そんな中で喜びを見つけていく夏川さんはそんな人たちの先駆者となってこれからも表現していく。なら僕だったらちょっとは前へ進んだ姿を伝えていきたいなって思うし、夏川さんの音楽を逃げ口にはしたくないなって思いました。
でもそんな強い人ばっかりじゃないからクソ雑魚ナメクジって言葉で夏川さんは安心できる場所を与えてくれるのかなって思います。ササクレもすごく優しいんだけど、そんな人に届いてほしい歌に感じました。
芯に触れたフリじゃなくて ただ一人こうやって存在を投げかけていたいんだ
ああ、もう何モンだってよくなって ただボクだっていいかって
そりゃもうムチャクチャな言い分だろ 笑うよ
ーササクレより
僕にはまるで問いかけるように会話をしているような歌い方に聞こえたから、そんな言い分でも笑ってくれる人がいるのかなって思いましたね。そんな夏川さんの友人の話はまた別で書こうと思います。
夏川さんに関しては自分と感覚があうことはなくても、こういう表現をする人はいるし、それは違うから見ない、聞かないじゃなくて違うけどその良さもあって刺さる人間に様々な感情を与えれているんだなって。それは綺麗なことだと思うし知らない世界を見せてくれるものだと感じています。そういうのを受け入れられるようになったのは自分の成長を感じさせてもらっているし、夏川さんの音楽を好きな友人を通して自分が成長できるきっかけを作ってくれたのが夏川さんの音楽だと思います。
これから夏川さんにこうあってほしいとかそういう希望的観測はないのですが、アーティストとしてどんどん前へ進んでいってほしいなと思いました。久しぶりに感情を吐露したらまとまらなかったけど、そんなぐちゃぐちゃできれいじゃなくても感情はだすにこしたことはねぇって僕は思います。素敵なライブをありがとうございました。
青P